あさおきると
庭の赤い花が
かってに煮たって
海のようなジャムになっていた


***


湯気ゆらゆら
あまいかおり
花のにつまった
あまい、あまい
やわらかな香り


***



うみのなかに
ちいさなきんいろのさかながいて


***


まいった
まよっちまって
あまい
ここは、海じゃないな?


そう、きいてきた

***

いうには
うみをわたり
ホウというところにある
宝物を
もちかえりたいらしい



***


ほう、の
たからを
もちかえれば
わたしは
ひとに、なれるのです

***

ひとを怨んでいました
たくさん

***

――ひとをのろわば
あなふたつ

【なぜか、いたみが、とれない】

――ひとをのろわば
あな、ふたつ

***

そのことばが
わかった時
もう
だいぶ、のろいは深まり

***

ジャムのように
こごったいたみが

わたしの背にあって

ひとつひとつの
うろこが
軋んでいた

***

いたんでいる日々

底にある想い
さけんでいた

いたみ
とれてほしい
癒えてほしい

いたい


にくみ のろい うらむより

ただ、癒されたかった

***

すきなひとの
こうふくを
祈れば
よかった……


***