闇の中で呼吸する




闇にとりまかれることは
多々あります

己からうまれることも
生きている限り
あらわれるでしょう

生きていること、こそは
ゆらぎですから

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ところで揺らぎから宇宙は生じました

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闇に取り囲まれたとき
身からあらわれた
闇に埋没したときの
呼吸のしかたです

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口角をすこしあげてください
微笑むかたち

鼻から大きく息を吸い込んで

お腹のあたりを意識して
気がわかるひとは
気をそこにおいて




微笑みの唇の
まんなかから
下のあたりに
細く長く、息をはきだします




***

不安や恐れを抱いているとき
ここらへんがつまります




(ところで闇の底には
そうしたものが渦巻いています)

ここんとこをひろくして

空に背中をゆだねるように
背骨をすうっとのばし

あごをひいて
前を見てください




(くれぐれも
太陽を見ないこと
目を痛めます)

***

森羅万象

……

人を軽蔑していたとき
馬鹿にしていたとき
鏡を持ち出して
顔を見たことがあるんです

わりと、険しい顔をしていました

わるくなかった

***

あなた、の

身から生じるものは
サビでしょうか 垢穢でしょうか

***

ところで、そうしたものは
――闇は、貴方ではありません

(垢は貴方ではありません)

貴方を愛し、認めているものは

穢れから
あなたをひきはなそうとし
貴方を、あなたの真心に
戻そうとしつづけるでしょう

……




以上です