【土の中できいた歌の話】
少しの土の中をねぐらに
やすんでいた

幾千年月

ふと気が付いたら
キレイな
頭に髪のない方がいらして
それはそれはきれいな声で
なにかを唄われた

彼が立ち去り
うつらうつらと
幾千年月
その歌を
おもいかえし
おもいかえし

ふとまた目が覚めた

彼がそばにいて
私を見て
愛しそうに笑っていた



土の中に
いままでみつけた
すべてのことを
埋めて捨てようと
彼は思っていた

だれにも利用されないよう
つよいことも
よわいことも

すこしあたたかな土の
なかの、なかに

彼はそれを唄にして歌い、埋めた

そうして
彼の中からそれは消えていった



その土の上は
あたたかな風がふきつづけた



ひとがきて
なんだか涙が流れたので

安寧の家を建てた
ひとがやすみ
いのちがやすむ
家を建てた

ひとは天へ
天を呼んだ

安寧の地に
なおも深く
導きと
安寧を
もたらすように

ともにいてほしいと

ともに生きてほしいと



天のほうで
うつらうつらしていた彼は
とつぜん
なにか、よばれたきがして

それが
あの土の上からだったので
そこに
おりたった

彼の歌を
耳のなかに聴いていた
その子を知った

その子と
出会った
(シリーズ: 絵と物語 )
2017-09-12 (11:27:05) update