明け方の月

起きると明け方の月
しろく
薄明かりにかかる

―― 必要とされることが
望みだったに
ちがいない

ふと、そう思う

いったい
必要とする人を
手に入れるより
必要とされる喜びは
たしかに
深い

明け方の月を見ていたら
どこからか
花びらが
風にはこばれてきて
ふわふわ浮いて流れていた
しろく薄い花びらだった

かすかに
桃のかおりがした

―― きっと
愛はかけねない
わたしが 居なくなって
悔やんでほしい
泣いてほしい

そう思うなら
愛欲であり
愛ではないんだろう

―― 愛は無頼なのだろう
ほっして欲しい
必要とされたいと
願う限り

私は 依存した愛欲で
愛ではない


―― 花はあるがまま
在るだけで
光はあるがまま
在るだけで
人は
あるがまま
いるだけだ


―― ああ 悔しいな

笑ったら
青天に笑い声響いて
なんだか余計悔しかった


いったい
みな
自由なままに
行いを決めている

行いの負債が
生き方にかえるだけ

無頼になれない
依存心が
苛立ちを作って
鬼になりたがる

いったい
気がつかなければ
いいのに


―― 誇れるかは
わからないけれど
わたしは 私が悪くない とは
思わずに きた

これからも
負債 ふりかえり
いきていきたい

―― いったい
みな 自由きままに
ただ 依存という欲か
無頼な愛かで
己の心を
尽くしている

いったい 人の関係で
わたしだけが
悪くない なんて
あり得ない


―― 愛は無頼なんだろう
愛は無心で
愛はただ
あるがままに
在るだけ

必要さえ 求めない
欲しいは依存
欲しいが鬼を
連れてくる

わたしの
必要として欲しいと
思う心が
鬼をつれてきた

―― 悔しいな

涙さえなく
笑ったら
青天から
笑い声ひびいた

どうせ
人間一生涯
一生懸命
情けない

笑いながら
いきればいい
2011-09-07 16:49:48