月光

やわらかな剣が
ゆっくりそらから
さしかかり
月とはなしていたら
それが、ゆっくりたわんで

わたしは、いま
ないていたんだ
きみは きみは
わかってくれるだろうか

わかってくれるだろうか

―― いつか 苦しみがとれたら
 あそびにいきます

そういったら 月は笑っていたよ

―― くるしいね

わらっていたよ
私は なきそうだった
胸がいたかったんだ
いたかったんだよ

くるしいと 叫んだんだよ

月の下
木々はゆれて
あたたかな光
ただ花が
枯れる前の花が
咲き誇り
月に姿を映していた

やわらかな風が吹いて
花がすこし揺れた

わたしは 泣き叫んでいた

いたい いたいよお

 だって にんげんは わかっていないだけだもの
 だって にんげんは みな

 きがついていないだけだもの

 だって にんげんは みんな
 くるしいんだもの

 だってにんげんは みんな もがいているだけなんだもの

 だってにんげんはみんな

 わかっていないだけなんだもの

 だって にんげんは みんな

 間違っているだけなんだもの

罰が罰として 罪が罪として
重なってきた罪として
どう祈ればいい おまえ 目が覚めてほしいと
ねがったって 気が付きやしない

 おまえ めざめてほしいと

 おまえは いったい 自分の殻にとじこもって

 いったい なんの現実を見た気になっているの。


おまえは いったい なにをみたきになっているんだ

 おまえの ための 現実を

 さがし おまえのための 居心地のよさを

 探していただけじゃないか

見ていたら 手の隙間から黒い蛇がでて
それが胸にはいろうとしてきたから
尾っぽをつかんで ぬけだして
目と目を合わせて やあ といって
 首から のんだ

なみだが ぼろぼろ ながれるはしから
かわいていった

 おまえが 間違っていることを
 わたしがいえば おまえは
 わたしをきらうんだろうね


 おまえは おまえの前に おまえのとりでをつくり

 ただ おまえに こだわっているだけ


―― 苦しい

さけんだら、愛しいというように
ひびいたんだ

―― おねがいです

 もう 気がついてください


もう 気がついてください
2011-09-14 21:14:24