ただ、まっくらくの夜の空に
光ざわめく星くずが、
ちかちか ちかりと
たくさん たくさん
またたいておりました

貴方とふたりぽっちで
なんにも話すことがなくて
だのに 胸がひどく あたたかで
私は泣きそうになります

ひいらぎの茂みをこえ
茨のうみをこえ
いまは
夜の川の中
ゆっくり ひたすら
すすんでおります

空と川をまちがえたのか
白い白い魚が
たまにぷわっとういては
はれ、というように
また、川面に戻る

ずっと
話もしないで
なにもなく
貴方の心を
味わえたら
よかったと

思います

自分で決めて
きめたけっかを
自分で 味わいなさいと
あなたは いって

ただ 傍にいる と
いわれたから
私は 笑ったのです

気がついたら
赤い花びらが
たくさん たくさん
目の前の 良く見えない夜の方から
ながれきて
川面に 赤く光りながら
ちらちら ぷかぷかと
うしろ、うしろへと
流れて

その合間 あいまに
魚たちが 小さなしぶきをあげながら
りいりいと
およいでおります

そのうろこが
ちかちかとした星明りに
ちかちかと
光るのです

―― もう
わかってしまった だから
このまま いくしか ないのでしょう

―― 全てで
私を
味わいながら

川面の光は
空と川をいききしながら
ただ
流れ続けております
2011-12-12 20:38:56