かみさまかみさま

むかしむかし
あるところに
ちいさな少女がおりました

少女はいっつも
自分ばっかり不幸だと
思い込んでおりました

ある日少女のもとに
小さなかみさまが来て
こうお聞きになりました

「どうして泣いているの
どうして泣きながら無理に
笑っているの」

「ああ、聞いてください。私には何もない。
富も名誉も人気も愛もない
うちぶれて捨て去られる、
この泥人形ようで
私ほど哀れはいないのです」

かみさまは笑っておっしゃいました

「君には体があって手があって
足があって目があって心があって
考えられるあたまがあるのに
これ以上、何がほしいのだい」

少女は少し考えていいました

「幸せです、
幸せがほしいのです」

かみさまはおかしそうに
もういっぺん
お笑いになりました

「君に足りないのは、
そんなものではないでしょう」

あごひげをさすりながら
かみさまは考えて

「そうだね、
君に足りないものがわかったら
君は幸せになるでしょう」

そう、おっしゃいました。
2009-03-31 22:27:13