ずっと

ずっと聞こえなかったうたが
ペンペンペンと
鳴り響きまして
赤いような月に
ひかひか 流れていた

―― ああ さみしかった

お伝えしましたら
あなたは
ずいぶん 急いていたから
耳には あしはやい風しか
届かなかった

そう 伝わる


―― たくさん
いただきました

そう申し伝えたら
あしたは 良い日になるね
そうおっしゃる


―― たくさん、さみしかった

手をつないだら
笑ってくれて
必死すぎるから
見ようとしすぎて
見落として
聞こうとしすぎて
聞き落として

わかろうとして
わからなくなる

きみ

もし また せいでしまったら
立ち止まり あなたの心音に
耳を傾けなさい

走るより 急いてしまえば
必ず 心音さえ
聞き落としているから

彼は笑って
わたしも
笑って

ただ天の川のそば
花つみながら
あるいた
2011-10-17 21:02:41