雲のきれまから
優しい光が
ゆらゆら下に
ちいさな鳥が
ちかちか鳴いている

―― 人に嘆くなら
私は不遇を感じ

―― 自分に嘆くなら
私は幸運を
覚えるようです

私は空を見ながら
貴女と話
貴女は後ろで
糸を編み

ただ かすかに雨音がする

―― 幸せにしたい と
願うのは 私が
できない人間だからです

そういえば
貴女は笑い

―― あなたを好いた人間に
あなたも
幸せを願われている

そう言われ
私は頭を下げ
信じきれない
私のこの疑いが 人に苦痛を
与えるのだと 思い
疑いを はじた けれど


―― あなたは 信じきれる 人間か

―― わたしは 信じきれる 人間か


見上げれば まだ
雲はうねり
あたたかな雨が
降りだすようだった
2011-11-19 13:58:26