滝

ザァザァとながれ
滝落ちる場にきて
ザァザァとながれ
私たちは
白いながい
ひかりひかりする
魚にのり
魚は、また滝をのぼる

ザァザァとながれ

朝がきたらしいから
見上げれば
すこし鋭い陽の
青い桃色の色合いに
ひかりひかり
やわやわな雲が
流れていた

彼が何かを言った
けれど
滝の音が強すぎて
わからなかった

いいてんき とか
そんなようなことかも
知れないし
大丈夫 とか
そんなようなことかも
知れない

ただ 微笑みだけが
わかって
私も微笑んだ

ザァザァと
滝は流れ 流れている
魚が何びきか 落ち
その姿は
濃い青い影
滝は白く輝いている

白い魚は
するすると
苦にもせずに
のぼり のぼり

あなたは不意に笑い
歌いはじめ
聞いたこともない
歌を歌い

私は、ただ
聞きたいことも
いいたいことも
なんにもなくて
白い魚の
ながれるさきを
見ていた