蜃気楼

夜に深い黒
ちか ちか
瞬くような
星が見えて
あれ 地面に
おかしいな と
思ったら
湖が 空をうつしていた

流れ星が
みゃっと流れ
地と天
2つ、みえた

手にある提灯を
ゆらしたら
あちらからも
光揺らす人が見えて
ですから
あなたに聞きました

―― たしかな人でしょうか

―― さぁ
君の見たいように
みなさい
どうせ
わからないのですから

―― ……

星がまた
ひとつ 2つ ながれ
優しい風がふっと
ふきとおり
あなたは笑う

ふ ふ

私も笑う
いい夜ですね

―― 惑わぬよう
迷わぬよう
見たいように 見れば
魔も 聖も
見えるから

影も
光も
蜃気楼

惑わぬよう
迷わぬよう
目の前に
今一度

―― 光と影が
蜃気楼をつくるんだって
雨上がりは
特にさ

それで
提灯で足元をてらせば
ましろい花が
ちらほら咲いて
小さななにかが
走り去る

朝が来るまで
まだしばらく
かかるように思えた
2011-11-24 22:01:35