こうお

めをつむると
風の音がないでいた
みみ、つめたい
あちらにいる
なにかが、
もしかしたら
風音の、ききまちがい
おおい、と、いう
おおい、寒かろう

めをあけたら
竹藪のなか
暗い闇は
続いている
ちきちき、きりきりと、
不思議なおとが満ちて
あちらこちらに
金色の目なのか
たまに、なにかが
ぴかり、ぴかり
またたいている

闇はふかく
まるで
墨をながしたように
まえもみえない
かすかに
舟がきしみ
川の流れ
あなたの、音がする

めをつむると
風の音がして
たくさんの生き物たちの
呼音がいきかう

ただ、舟がすすんでいることが
からだでわかり
ふ、と、
光がさしたことを
まず、爪先がきづいて
それで目を開けると
あなたが、笑っているけれど
闇から出たばかりで
まぶしくて
よくみえない

ゆっくり、闇からぬけていく
目で見るよりも
からだが、ひかり浴びているとわかり
あなたは、わらう
2012-01-12 12:17:43