「しごくきれいなんだ
ゆうゆうのはねなんだ
とりみたいなんだ」
しばしるの場所で
寝転びながら羊はゆった
ととと、ととと、音がして
はちみつが垂れていた、まるで誰もいないみたいに
太陽が金の色に焦げてる
「ぼくのしきなひとなんだ
ととと、ととと
はちみつがたれてるね
まげをゆっているんだ、きれいなゆいかたなんだ」
羊の長いまつげがゆうゆうゆれる
「にんげんなんだ、にんぷなんだ
にんぷってなに?
ぼくをなでるんだ、しごくきれいなゆびで
こんぼくじょうにぼくがいること
あのひとはしってるんだ」
はちみつがたれきって
とと、と音を最後に
もうなにも聞こえなくなった
小さな小さな小さな羊
「ぼくじょうをでただけっこんしるんだ
ぼくのつのでゆびわつくるんだ
すきですていうんだ、きれいなひとはほほえむんだ」

きっとそのひと、あなたのこと、
あんまりなにも想ってないよ
きっとそのひと、あらまぁって想うよ

「いいんだ、ぼくはそいでもなくかもしれないけど
それでいいんだ」
太陽が金に焦げてる
羊がゆっくり眠りにつく
小さな小さな小さな羊
おやすみ
おやすみ
おやすみ
(シリーズ: イド )
2005-07-09 00:00:00