力があると彼はいった
自分には力があると

でも彼は力を欲しているだけで
もっているものは なにもなかった


特別だと彼はいった
自分は特別な能力があると

でも彼はよくある存在だったし
彼が誰よりもぬきんでているとは思えなかった


従えと彼はいった
それは間違っている 私が正しい と

人の心を否定し
自分の思い方や見かたを正しいと信じて
無理やり信じこませようとした

そこには嘘がなかったけど
真実でもなかった


人以上になろうと 人をゆるがした人が居た
人以上になろうとするあまりか
人を殺し続けた


自分が正しいという人が居た
自分以外の正しさが 許せないから
自分以外の人を 責め続けた


特別になりたい人が居た

特別だと人は言った

特別な自分を誇示するために
力と言葉を駆使していた



自分を信じた人が居た
特別な自分を信じているので
自分を一切 信じていなかった
(シリーズ: イド )
2010-06-16 18:12:07