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Voice
> マザー
もしも
ひとのやくに
たちたい の なら
だまること を おぼえればいい
ことばを なくして
はなしを やめて
きくことを おぼえればいい
もしも
なにかを はなし
なにかを したいなら
あなた が
すくわれたいのだろう
***
ひとの思いを
きけて、はじめて
わたしと、ひとが
わかるんです
***
黒頭巾とよばれています
おおかみさんに
食べられかけた
赤頭巾とは
すこし違います
***
おおかみさん、あなたはどうして
牙が生えているの
お前を食べるためさ
:
そうだと、思ったの
***
ああ、いけない
会社にちこくする
おれがいなきゃだめなんだ
と、彼は走っていきました
だけど
じつは
自分がいなくても 世の中が回ること
あと
いないあいだに
なにをいわれるか
わかったもんじゃないってことだと
思ったの
***
たおれたひとをみて
ああ、ほら
わたしのいうことを
きかないからと
笑う
:
たすけてもらうより
たすけあげるほうが
楽しいですものね
:
「私がいなきゃダメなのよ」
***
***
頭巾をどうしてかぶるのさ
:
:
:
余計な言葉を話さないため
とじておくため
歯と唇をもらった
余計なものをみて
余計なきもちをおぼえないため
まぶたをもらった
ただ 聞くためだけに
耳はひらいている
とじないために
***
感じるために
こころをもらった
***
【ひとの思いも】
【お前のすがたも】
【その、本心も】
【お前の言い分が】
【きえたところから】
【はいってくるさ】
***
ひとに、はなしながら
自分を、だます
人の思いを
聞かないため
自分の本音に
きづかないため
話し続ける
***
:
おおかみさん
思いを漉していくと
ふたつぐらいしか
のこらないのよ
好き か
好かれたい
おもう か
おもわれたい
***
おおかみさん
おおかみさん
おおかみさん
怖かっただけだよ
***
***
しじまが お前を
教えてくれる
... 前頁「ねずみ」へ
... 次頁「ことり」へ
2012-02-15
17:54:53
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ひとのやくに
たちたい の なら
だまること を おぼえればいい
ことばを なくして
はなしを やめて
きくことを おぼえればいい
もしも
なにかを はなし
なにかを したいなら
あなた が
すくわれたいのだろう
***
ひとの思いを
きけて、はじめて
わたしと、ひとが
わかるんです
***
黒頭巾とよばれています
おおかみさんに
食べられかけた
赤頭巾とは
すこし違います
***
おおかみさん、あなたはどうして
牙が生えているの
お前を食べるためさ
:
そうだと、思ったの
***
ああ、いけない
会社にちこくする
おれがいなきゃだめなんだ
と、彼は走っていきました
だけど
じつは
自分がいなくても 世の中が回ること
あと
いないあいだに
なにをいわれるか
わかったもんじゃないってことだと
思ったの
***
たおれたひとをみて
ああ、ほら
わたしのいうことを
きかないからと
笑う
:
たすけてもらうより
たすけあげるほうが
楽しいですものね
:
「私がいなきゃダメなのよ」
***
***
頭巾をどうしてかぶるのさ
:
:
:
余計な言葉を話さないため
とじておくため
歯と唇をもらった
余計なものをみて
余計なきもちをおぼえないため
まぶたをもらった
ただ 聞くためだけに
耳はひらいている
とじないために
***
感じるために
こころをもらった
***
【ひとの思いも】
【お前のすがたも】
【その、本心も】
【お前の言い分が】
【きえたところから】
【はいってくるさ】
***
ひとに、はなしながら
自分を、だます
人の思いを
聞かないため
自分の本音に
きづかないため
話し続ける
***
:
おおかみさん
思いを漉していくと
ふたつぐらいしか
のこらないのよ
好き か
好かれたい
おもう か
おもわれたい
***
おおかみさん
おおかみさん
おおかみさん
怖かっただけだよ
***
***
しじまが お前を
教えてくれる