―― メリークリスマス




幼いころ
朝起きたらプレゼント
サンタさんからのお手紙

嬉しくて嬉しくて
ころがった

そうしてやがて
私は大きくなっていって
しだいにしだいに
どうしても
サンタさんになりたくなった

父にも母にも反対された
なれるかわからない
超難関
それでもどうしてもなりたくて
一生懸命がんばった

合格した夜
いちばんいちばん喜んでくれた父
母とふたりで
祝ってくれた

先輩サンタは厳しくて
とろい私はつまづきながら
なかなかうまくいかなくて
それでも
みんなで
プレゼント支度

クリスマス
聖なるこの日
見あげれば 大空
金色の雲の波
ひびきわたる
きこえない歌声

「サンタなんかいない」
すねた子がわめいている

私たちが、そりにのって
はしりだす、夜が来る

「リラックス
リラックス」

先輩サンタが
笑いながら言う
「あんまりかちこちで
見てて面白いよ
気を抜きなよ」

ぎしぎしに
笑い返して
そりにのろうと
歩き出せば
小さなカードが落ちてきた

赤い紙に、金色の文字

――楽しんでいらっしゃい、世界を――

メリークリスマス
メリークリスマス

見えないプレゼント
サンタからの贈り物
世界へ 良い子へ すべてへ

メリークリスマス

幸せな歌 聞こえない歌
響き渡る

鉛筆・透明水彩