一つ目の鬼は
とても せまい世界で 生きて
とても せまい 世界で 朽ちる

「そんな風でしか
みられないものも
ございますから」

鬼はそういう

井の中の蛙

「それでも
大海にでたとて
みな それぞれ
とてもせまいせかい
まわりのことしか
知らないままです

井の中の蛙のまま
大きくなっていくのです」

鬼はそういう

寂しい大人が増えたようだと
風をききながら そういう




狭い心のまま
そういうふうでしか
味わえない世界を
味わいながら
鬼は いきて
終わりがきたら
朽ちていく
鉛筆・透明水彩