寒いと鯉は池の下のほうにじっとかたまっている
動くときもどこか鈍い
その姿は、辛そうではない。
どこかこれから春が来ることを知っていて
じっと待っているように見える

この間、池に浮いていた鯉の死骸は何日も放っておかれた
あれは若い鯉のようだからきっと何かに患ったんだろう
そういえば鯉はどうやって死を迎えるんだろう
当たり前だがきっと老いて死ぬこともあるんだろう
なのに、何年間も通ってきたこの池で
鯉の死を見たのは、あの若い鯉と
「サギ」と呼ばれる鳥が食べているときだけだった

きっと清掃の人が片づけてしまうのかもしれないが
死の間際、何かを心し
どことも知れないところに
泳ぎながら消えていく
池の暗がり、どこかにつながっていて
やがて滝を上るように
死をむかえる、そんな鯉を思い浮かべる