マフラーを編みながら、いとしい人へ、流れた思考が
ふっと、途切れる
なぜだか、アンニュイな気持になる
切ない思いのまま
ぼうっとしていたら、
小さな、愛らしい声で「たたんでつかうの?」と聞こえた

みれば、小さな羽をはやした
きれいな精霊のような方がいらっしゃる
「たたんでつかうの?」
「なにを?」
なんのことかわからず、
とにかく美しいなぁ、と
私がその方を見つめていたら
「マフラー……」
そういわれて、マフラーをひろげてみたら
ものすごく、はばがらひろい
私は気づかないうちに、縦も横もないような
とても幅広いマフラーを編んでいたようだ

もう一度、精霊が「たたんでつかうの?」と聞かれるから
私は「どうしよう」と、聞きかえした