不動明王さまの
神怒の香りがしたと思ったら
腹痛にたちまちなりはてた
痛いんだが妙に心地よく
にやにやしながら
ごろごろしていた
一週間をこえて
神怒の香りはきえず
腹痛もぶりぶりつづいていた

とんがらしと焔のかおり

……

朝方
物凄く恐ろしい顔をした坊さまがいらして
行に墜ちた行者さまや、
ちからに墜ちたお坊様のはなしを
してくださった

イメージで見せてもらった
修行をされている方からすれば
私など片腹痛いものかもしれないと
つたえたら
悲しいお顔をされて
はなされるには

ーー人間は、どこまでいっても
人間で、
修行をつとめ、ある地に到達したとしても
坊主となり、神仏に縁をもったとしても
どのような道を歩み
なにがあったとしても……
人間のままだ
どこまでいっても
なにになっても
あなたも、わたしも
普通の人間から
かわるわけではない……

ーー人間でありなさい
神々にあらず
欲悪にあらず
人間でありなさい……

……

背中まで痛むのを
小さいさんと天神が
撫でつづけてくださった……

……

夜更けに象の神様がいらっしゃる
桃色でお二人でつるまれる
なんとなく、この世のものと
心のはなしをした