あいなりや

甘い金の花が
青い深い空から垂れ下がり
金色のはなびらを
ひとつ、ふたつ
風に吹かれて
舞いおとしている

ひとりのひとがきて
そのうでのなかに
子供を抱かれている
ひとりのひとは
やさしい顔をして
なみだを、いくつか
流される

どこにでも善良はいるようです

鈴のような声でいわれる
とおりすぎるとに
子供のかおがみえる
すやすやと
安心しきって
ねむっている
桃色のほほに
金色の、やわらかそうなわっかを
腕につけて

おじぞうさまのよう、そう、おもう

あいなりや
あいなりや

そのひとが、地をふむたび
地がおとをたてる
素足にちかい
布を巻かれた足で
ゆっくり、きざむように
おもく、たしかに
しずかに、歩かれる

あいなりや

いとしすぎて
涙がこぼれる

そのひとが、いう

地に、足跡が
ついていく
2016-08-30 08:57:52