いぼいぼしたつちのこ
誰からも受け入れられないつちのこが
ある日、かえるに恋をした

いぼいぼしたかえる
誰からもあいされないかえる
つちのこの愛を知って
夜にしくしく泣き出した

ああ、つちのこ、
ぼくは大変みにくいじゃないか
きみといたら、きっとぼくはもっとみにくくなる
いきものはすべてぼくを避けるだろう

つちのこを遠ざけたかえる
それでもつちのこの愛は変わらなかった

いぼいぼしたかえる
ぼくらはなんも恥じることは無い
たとえ誰が笑っても
ぼくはきみといるときが幸せで
君をしあわせにしてみせるから

いぼいぼしたかえるは月の夜
そっと湖の蓮の葉にのってみた
つちのこはそこへ泳いで、そっと隣に寄り添ってみた
月はまっすぐな銀色で
しずくはきらきらとひかり、
ほたるが夜を飛んでいた
湿った空気に、蓮の葉から金色のわっこが流れた
綺麗だった
美しかった
いぼいぼしたかえるはいぼいぼしたつちのこのいぼいぼをそっとさわってみた
つちのこは静かな瞳でかえるをみた

いぼいぼしたかえる
いぼいぼしたつちのこ
ふたり
そっと寄り添っていた


(シリーズ: イド )
2005-07-09 00:00:00