恐ろしいほどの
憎しみと
悲しみが
向こうから
渡ってきた

私は 許すことも
流すことも
受け入れることも
できないと思った

痛みは私を粉々にするだろう
私は怒りを感じるだろう
理不尽さに
相手を怨むだろう

与えられた痛みを
許せないだろう
癒せないだろう



恐ろしいほどの
悲しみを
私はただ見ていた

憎しみの底にあるのは
悲しみに過ぎなかった

それは恐ろしいように思えた
でもただの人間だった

私と同じ
臆病な
人間だった
(シリーズ: イド )
2010-06-22 17:27:50