誰のために、とか
自分のために、とか
すこしわからない

いつも
なんにも考えずに
なにかをはじめている



扇模様に少しずつ編んでいたら
なんだかいろんなことを思い出して
悲しいような、さみしいような
それでいておかしいような気持ちになった

笑いたいのか、泣きたいのか分からない

ふと、編み上げたところに
ちいさな黒い亀の子がいて
それが、さっとケープを首に巻いたり
もぐったりしている




どうしたの、とたずねると
おおいえええ、と驚いて飛び上がる

いえ、なんでもないんです、とあせりながら



「私、若く見えますか
いくつに見えるでしょう
これでも母様とわかれて
いくぶん経つんです

すこしは楽しくやってきました
大きく楽しく、ではないけれど
ささやかな、こまかいことで
喜んだりないたりしてきて
かたわれなんかもできました
カタワレ、あなたの言葉で思い人でしょうか



たまに思い出すんです

母様のだきしめてくれたこと
まあるく、ぎゅうって
ささえてくれたこと

私、もうだいぶ母様とわかれて
だいぶたつんです

もしかしたら
こんなだったかしら、って
すこし思っていたんです」






あみもの
どうも編んでいるうちに
いつも2つ出来上がる
不思議な気持ちがしていた

そういうことだったのかもしれないと
黒い亀のこにひとつあげた






おまけ
編んでいるところ