軽蔑さん

嫌いなひとが
きえはてたら
自分も
きえはてるような
生き方を
してないか

:

ふと、軽蔑をさえずる鳥が
おとずれて
延々、呼音する

『否定できるものに
自分が依存してないかと
思ってしまって』

『つかってないかな
嫌いを
自分をたもつために』

鈴のような声

『否定できることが
ほこりをみせる
お立場の
踏み台に』

なっていないか……

軽蔑さんは
軽蔑さんに
たずねるように
言葉をついばむ

『ひとがいるから
自分もいるのに』

類は友を呼ぶ
似たようなものしか
心にはうつらないものだ……

金色のくちばしで
しょざいなげに
何度も、何度も
軽蔑さんは
つばさをとりつくろう

『人を認めたいの』ときいたら
うん、と、うなづかれる

:

赤い花冠をあげたら
うれしそうに
ひとつ、ふたつ
さえずられた
2016-10-22 21:52:11