秋の日はつるべおとし

山間のもみじの紅い森を抜けますと
ちいさな暗闇の中に
たきぎがあって
まわりを、仮面のような
紙のような、大きなものをかぶった方々が
どんつくどんつく踊っておりました

それで私は
赤と金と白の花束をつんでいて
まよっておりましたので
そこにでていって
あの、ここいらは
どこら辺でしょうか
と申しますと
話が通じないようで

 ここはどこかと とわれます

 それはあなたが ごぞんじです

 わたしはだれかと おっしゃるけれど

 それもあなたが ごぞんじでしょう

そう、方々は笑って
ただただ
どんつくどんつく
踊っていらっしゃるのです

ですから私は
いいえ、あの、と
申しましたら

方々は笑いながら

 どこへいこうと かってです

 それはあなたが きめること

 あなたが しってる いきさきは

 あなたいがいの だれもしらない

その時、わたしは
どこにも
道はないのだと
はっきりと
わかったのです

:

道なき道を
あゆむなら
道をさがしても
ないのですから

ただ、その
すすみたいところを
さがすしか
ないのです

進みたい先の目印に
愛の代わりにのぼる
月をかざしましょう

みえない日は
おやすみということにしましょう
2011-07-08 10:03:42