羊の話

昔むかしやわらかな羊がいました。
そのこの毛はわたあめみたいにふわふわで、目は黒蜜のようにつぶらで可愛羊でした

ある日羊は月を見上げて思いました
『おつきさまは飴玉みたいだわ』
羊は月をずっと見上げつづけました
『見ていれば落ちてこないかしら 飴玉みたいだわ』

夜は暗くきんぴかでした。
端がわずかに青く明るく きんぴかな雲が流れていました。
羊はずっとお月さまを見上げています
そこへ、てくてく夜の散歩をしていた牛使いが気づいて、羊にききました
『どうしたの?』
『あら牛使いさん、わたしお月さまを食べてみたいの、落ちてこないか見張っているのよ』
それを聞いた牛使いはしばらく考えました
『お月さまは空のものだから、食べられないよ』
『だって誰かが食べたあとがあるじゃない』
それを聞いた牛使いはたくさんたくさん笑いました
笑いながら言いました
『確かに、確かに、羊さん、
でも目をあけてたらお月さまは食べられないよ。
目を閉じて頭の中を夜にしなきゃね。
お月さまはなにせ夜が好きなんだ
だからね、お月さまを味わいたいなら目を閉じて君の夜にさそいこむんだ
味はどんなかしらって眠りながら思うのがよいよ』
羊は『まぁ』と言いました
『良いことを聞きました、ありがとう牛使いさん』

嬉しそうに早速目を閉じた羊は
しばらく口をモゴモゴしていましたが
やがて小さな寝息をたてはじめました
牛使いはほほえんでペンペン草をふりながら
ゆっくり草原を
また歩き始めました

夜は今にも明けようとしていました

ふと、牛使いはお月さまを見上げて
みなが貴方の味を思いあぐね
だから
貴方はかけていくのかも知れないね と 笑いました

それいらい夜は眠ることになったんです
2011-08-12 04:58:28