しかし

母のつむぐ
金色のいとは
とんとんに
とんとんに

私は
母のそばで
花をついで
花輪をつくる

とんとんに
とんとんに

しかし 草木はマミドリで
鳥はさえずり
金色をおびて
ひかり飛ぶ
小さな花々が
赤や白や黄のいろ散らし

しかし 美しい
泡のようなひかり
舞え飛ぶ

私は母に聞きました

――やがて

日が落ち
悲しみもおわり
よろしく明け日が
のぼるなら

人の人の 人々の
我のために の
こころから
みんなのわたしに
なるのでしょう

たれの 罪と
言いますなら
たれもの罪と
申しましょう

わたしに あなたに
湧きいずる
我こそ
すぐれていたいという
我にこだわり
しがみつく
その気持ちが

くつがえされ

我は己になり
我より己になり
己をひとつにみて

みなの ただ
みなが中の 己になり
みなの ひとりとなれば


―― 一息

人の 人々
我のための
世界などなく
私は また
世界のひとつと
こころ かわれば

世界は 変わりましょう

私はこさえた花輪を
高くに放り投げた
しかし母は
ただほほえんで
なんにも
言わなかった

私はただほほえんで
これが
間違いかもしれないとも
正しいかもしれないとも
おもえなかった

ただ わたしだけが
正しく真実をしり
伝えたいと 願う心は

それは あやまりだろう
そう、おもえた
2011-08-12 08:17:16