ソラを

空が金色にとけるような
あたたかな色をおびて
たくさんのギヤンマが
山の方にとんでいた

わたしは
地をとろかしながら
沈む夕陽の金色に
ただ 照らされていた

蝶がさわいでいる
さざ さざ さざ
風の音 祈り


―― 空をとびながら
―― 空は誰のためにあると

―― たずねあぐねたら

―― 鳥は地面にぶつかった

―― よそ見をしていたから

私は歌っておりました
そらは美しく
やさしい金色に
染まっておりました

―― 鳥は 空を
制御できない
―― 空も 鳥を
制御できない

鳥ははばたき
空は広く
ただ風はふいていた
ただ鳥はとんでいた

―― 空は鳥のもの
―― 鳥は空のもの
互いにただ
そのためにはなく
そのものに
あった

ただ互い
在るだけだった

ふ と、夕凪
風がないで
ちいさな花のにおいがした
さあっと雨がふった
夕陽に照らされて
きらきら きらきら
光っていた

地面から
水のにおいがした

―― あと何を
なくせばいい
わたしを かえればいい

そう いったら

―― 足すんだよ

そう 笑った

許す心
受け入れる心
たしなさい

―― たくさんの
こぼれた 心
―― たくさんの
こぼれた なみだ
―― たくさんの
愛が ゆっくり
夕立の中
芽生えはじめる

―― うたいなさい

金色にひかるなか
やさしい光が
歌をながして
天に広がっていった

―― うたいなさい

たくさんの光が
たくさんの雨とともに
地にすいこまれていった
2011-08-14 10:24:21