だあだあとした
黒い黒い空を見上げていたら
ひとつ
割れるような雷
とつぜん、
びいいんとはじけ
その次に、大量の水が
なべをさかさにしたように
おちてきて
その突拍子もない展開に
ああ、と
叫び声がでたけれど
どうしようもなくて
ただ茫然としていたら
となりに、なまずだか
どうじょうだかわからない
真っ黒い魚が
ぬめっと立ちすくんでいた

こんな、あめのひは
よいですね

だのいう
わたしは、でも
突然すぎるとおもいます
そういったのだけれど
なまずはきいているのか
いないのか

だいぶ、かわいていたので
よかったです
もう、ひかひかになり
するめ、でしょうか
ああいうふうに
おいしくなるところでした

だのいう

だあだあだあだあ
まるで滝の中のような
天の雨のなか
わたしたちは立ちすくみ
どじょうはどんどんおおきく
おおきく
なっていって
最後に、すざまじくおおきな
いっぴきの魚になった

その目が、金色の
ぴかぴかとした光をはなち
うつくしかった

それで、
気づいたら
雨の中
暗いくらい
水のあいまに
ひかりひかり
ひかりながら
たくさんの魚が
泳いでいる
ゆら ゆらゆら

まるで
夜空の星のように
ひかり
ひかり

私の前の
巨大な魚の、その身の中にも
星がたくさんあるようで
その黒身が
うっすらとすきとおり
うつくしい小さな光が
たくさんちらばって
ぴかりぴかりと
ひかっている

ながめていたら
そのようすがおかしかったのか
うふふ、と、笑われた

そして
次の瞬間
あとかたもなく
なにごともなかったように
雨はやんで
私は真っ蒼な
雲ひとつない
凹凸レンズのような空の下
びしょぬれで
たちすくんでいた
それでも
雨がふったあかしに
道々のところどころに水がたまり
どこからきたのか
あお、みどり
ちゃいろの蛙が
げええげええと
叫んでいた
2011-12-18 21:28:03