夜更け

ふ、と、起きると
まだ、夜更けのようでした

物静かな闇のなか
ちく、たく、ちく、たくと
時計の音がします

なにかつまらなくて
天井のしわを数えていましたが
少しして、あきて
障子のほうに寝返りをうつと
月明かりでしょうか
庭が、ほのあかるい

眩しいほどにおもい
不思議なこともある、と
そっと、しずかに障子をあけたら
ましろい雪と草の上
小さな白い鳥がいて
いっぽ、いっぽ
歩きながらなにかを探しているようです

どうされたのでしょう
そう思いながらみていれば
鳥は雪の下の土をほりおこし
光り煌めくような花を植えます

いくつもいくつも
そういうふうに
煌めくような花を
庭に埋めて
おしまいに、ちいたああたお、と
一声なかれました


みずさ、どうした

そう呼ばれ振りかえれば
闇のなかで母があんじているようです
いいえ、あちらに、としめせば
障子はぴったりとしまり
月明かりさえない

夢を見たようです

少し驚いていると
母は笑い、お前、夜はねるものだ
子守唄でも
うたってやろう
そういいます

え、うれしい

わくわくしながら
布団にはいれば
母は、どこで習ったらしい歌をうたいはじめ
聞いていたら、うつらうつらし
ありがとう、と
思いました
2012-01-15 00:16:10