朱銀色の空に
小さな鳥がたくさんとんでいた
小さな翼を下に上にうごかすたんびに
かれらの先頭がしょう、とないて
つづいてみんなが
しょう、しょうしょうしょう
しょう、しょうしょうしょうとないている

やわらかなうろこが
たくさんついた白い竜が
いっとう、池のほとりでやすんでいる
おなかの下にかくれた子龍の吐息をききながら
彼女、母龍はあめがふりそうだわ、と思う

子龍の吐息はとうとうと平和につづいている
やわらかな鼻づらがきゅ、とたまにないて
母龍はなんともいえない
きゅうっとした気持ちになる

このこにたくさんのしあわせがありますよう……


紫色の花が
池のほとりに
ぽつりぽつりと咲いていて
ふ、と風が吹くたびに
水をふくんだにおいと
花の香りが漂う

重たげに岩にのせていた柔らかな首を
すこしだけあげて
空を見上げると
たしかに雨雲がのびやかに流れ
母子の上におおいかぶさろうとしていた
遠くの龍鳥たちは
しゃお、しゃお、しゃお、と
なきわめきながら雨を歓迎している
母龍は子をおこさないように
こもりうたをうたう
たお、たおたお
たお
たおたお

ふいに、たくさんの雨粒が
ぱらぱらと
音を立ててながれはじめ
ぱ、ぱぱぱ、ぱ、ぱぱぱと
たくさんの音がなりはじめる
たたたた、たたた
ぱぱぱ、ぱぱぱ
池にたくさんのもようが落ち
蛙龍がごお、ごおげ、ごおげ、となきはじめ

まあるい模様がひろがるたびに
池は金色に、まるでひとつの生き物のように
金色に、輝いて
母龍はそれをみながら、何と幸福なのだろうと
ため息をつく
そうして子龍の小さな白い毛を
やわらかく大きなオレンジ色の舌で
たちたちとなめて
もう一度子守歌を歌う

たお、たお

うろこにふりかかる雨から
守るように子龍をだきしめ
ただ一心に見つめていたら
やわらかなおなかに隠れていた子竜は
ぱちり、と目をあけ
たお、たおたお、とないてでてきて
その母竜のうろこにかまれた青色のめんめを
ちたちたとなめはじめる
小さなオレンジ色の舌

雨はとうとうと温かくふりそそぎ
池の中の柔らかな魚竜たちは
水上の金色の模様が
とてもきれいだと話し合う

たお、たお
たお、たお

竜の声

子龍が母をまもるうたをうたいだす

たお、たおたお
たお、たおたお

母龍はそれをきいて
すこし、なみだぐんで
それから、一緒にお守りの歌を
歌い始める

たお、たおたお
たお、たおたお

池の波紋にあわせて
歌声が
響き流れ

やわらかな、温かい雨と
歌声にいだかれ
龍たちはゆっくりと、呼吸をふかくし
ねむりはじめる