いぬ

あれは俺を嫌っているらしい
うまく、うまく
ごまかしながら

あの人を見ながら
いぬがいった、ビー玉のような目が
青白く、ぎらぎらしていた。

おれはね、ずっと
誤解されやすいと感じていたけど
そうでもないな
嫌われやすいだけだ。

犬は三日月がたの尻尾を
たてに、ながく振った
体には三つの怪我があった

嫌われる理由は、大体想像ができる。
だけどまぁ、
仕方がない。
俺が俺で嫌われるなら
それで、いいだろう。

犬が歯をむき出して笑った
あたしはこれはもしかしたら
ひょっとすると
犬ではないのかもしれない、と
感じ始める

ところで、嫌っているやつに、いってみたいんだ。
「おまえは、俺がおまえを
 嫌っているように思えるんだろうか?」
別に、答えて欲しいわけではない。
聞いてみたい。
うふふふ

あたしは犬を見ながら
犬と笑った

そして、やっぱりこれは
犬ではない
2010-12-26 11:51:18