ゆめはみの術
ゆめはみの術でござい
さあ、おたちより、おたちより、

愛の欲しいこびとがひとり
愛が欲しいと嘆いてた
逃げながらでも
逃げながらでも

それでも愛が欲しかった

神様に願い、悪魔に頼った
こびとはいつしかもっともっとひとりになった

ぼろぼろ流れたこびとの涙
たぷんたぷんと川になり
海になり
空になった

空には月が、まあるい月が、ぽっかりふわふわ浮いていた

愛の欲しいこびとがひとり
愛を求めてにげていた

なにものにも侵されない
悲しい場所を求めてた

どんな場所にも愛は無かった
こびとの欲しい、愛はなかった

悪魔よ、神よ、この世のいのちよ
私に愛を、愛をください

月が落っこち、こびとのもとへ転がった
こびとの涙はただ流れ、流れ流れてたあたあと

絶望などない希望もない
ただ愛だけが欲しいだけ

こびとは月をぎゅうと抱きしめ
そおっとそおっとキスをした

月にうつるこびとの姿
その胸の真中に、愛は確かに存在してた
(シリーズ: イド )
2005-07-09 00:00:00