白い壁が砂っぽい
石を積んで
やわらかい毛皮を引いた寝床から起き
石の床に足をつける

くりぬいた窓から
街並が一望できる
ここは崖の上にあるから……

お寺だったのか
なんであったのか

そこの部屋は
大きな連らなりのひとつで
十人そこそこの僧侶と
私は住み込んでいた

龍のような
ながく、くねった
ぺたんこの部屋の連なり
龍の頭のところは
東にあって
そこむかうと
一際大きな広間があって
ここもやはり
広めにくりぬかれた窓から
海がみえ
太陽がみえる

わたしたちは
とても自由にすごしていて
起きたいときに起き
寝たいときに寝ていた

それでも朝日がのぼるとき
下に広がる海から見える
金色の太陽は
息を呑むほどで
日の出の時間になれば
誰ともなく、起き出して
広間につどった

……

薬草畑と
畑があって
牛や馬、羊、鶏、
犬猫なんかが
放し飼いにされていて

たいていの食べ物は
そこでとった

……

畑と池をすぎて
すこしいくと
赤い土をもりこんで
つくられた壁があり
庭ごと、崖の上の連なるすみかを
ぐるっと取り囲んでいた

出入り口に
門のようにたてられた
赤い二本の柱には
金で龍の装飾がほどこされていた

そこから、よく
崖下のまちから
ひとがおとずれた

……

私はパンのようなものが好きだった

畑からか
どこからか
麦ににたものと
イモのようなものを
とってきて
ふたつともすりつぶし、
まぜて、こねて
とってきた果実や薬草
木のみをいれて
薄くのばして竈で焼いた

やけるころには
仲間の僧侶たちが
香りに連れられてやってきた

だからいつも多めに作った