蛙さんと私

ある日、名の無い池のほとりで
白い蛙さんが
私を見上げていらっしゃいました

そこで私は
ちょっと
一つ二つのお話をしました

私は善き人でありたい
と、申しましたら
「よほど気をつけなさい」と
伝われました

人はただしきを
目指せば目指すほど
善い知識を
知れば知るほど
過ちを起こしやすい

善き人でありたいなら
その道こそ
踏み外しやすい
おそろしい道ですから
よほど気をつけなさい

私は世界の立派な人たちを見て
なるほどなぁ、と思いました

蛙さんは鳴きながら池に飛び込み
池の波紋がぴゅーっと
あっちまで渡っていきました

正しいと思い
間違いをおかしたら
それは本当に立派な立派な
理由となります
なにより強い力風となります
そして何よりも大きな災いとなる

と云われました

ですから
それいらい私はおそるおそる
気をつけております
2010-11-08 10:17:03