赤いちいさな花が咲いております
まれまれに、
黄色い柔らかな花

星は天に満ちて
そうそうに
あつい風が揺らいでおります

槍をもたれた方は
えい、やぁ、えい、やぁ、と
槍の練習をしています
その横で
ちいさなお子が
オレンジいろの蒸しパンに
かじりついております

ちいさなお子は
不意に目をあげます
槍の方も
なにかを感じたのか
そんなお子につられるように
うえをみました

真上のたかいたかい
とてもたかい、とおいところを
ごおおお、と
音をたてて、
金色の尾をもつ白い馬が
すざまじい速さで
かけおりていきます

ーーおちていくように
かけていくよ

お子がいわれます

ーーあれほどとおいところならば
あの馬はとてもおおきく
とてつもなく速いだろう……

槍のかたがいわれます

しばらく
音にみみをすませ
かけおりていく馬をみながら
お子は不意に
うたをくちずさむ

槍のかたは
興味をうしなったのか
槍の訓練にもどられる
お子の歌が聞きたいのか
声もださずに

シッ、シッ、と
槍が風をきる
お子のちいさな声が
野原をみたしていく

馬がこちらをみたようですが
お子も、槍のかたも
気づかずに
ご自分を続けられていました
2017-05-11 20:10:15