コップに水を注ぐと
水はとおとおと流れ落ち
流れ落ち、溢れてしまった

溢れた水はとおとお、とおとお、走りゆき
走りながら蛇行した
水の中にすいすい、すいすい、銀色の粒が流れて
蛍光灯の光りに熔けて
すいすい、すいすい、鯨になった

とおとお、とおとお、とおとお、流れたい
わたしの中に、何粒の銀があるのだろう
とおとお、とおとお、とおとお、ゆきたい

水に熔けた、私の体に、鯨は泳ぐだろうか
考えていたら、いつの間にか水になった
とおとお、とおとお、とおとお流れた
床は冷たかった。

(シリーズ: イド )
2005-07-09 00:00:00