朝に起きたら

あさにおきたら
きゅうくつな屋根裏にいた
ゆかなぎは、自分の部屋と
上の部屋の、スキマだと
すぐにわかった
きみょうな音がして
真っ暗闇で
布や、紙がたくさんあった

かれがいた
とりさんのお姿をみるのは
久しぶりだった
愛しかった
とりさんは、こわいかね、という
ゆかなぎは
こわくはないです、と
こたえた

しばらく静かにしていた

とりさんはゆかなぎを
そばにあった毛布で包みこむと
横に寝かせ
やさしくなでた
それから、壁からパソコンをとりだして
本をとりだして
しらべものをはじめた

きゅうに
うえのうえのほうから
鳴き声がして、もっと
こっちにこれないかな、といわれる
ゆかなぎはビクッとして
うえをみあげた
とりは、そんなゆかなぎの様子を見て
こわいかな、とたずねる
こわくはないです、と
ゆかなぎはこたえる

:

寝ていたらしい
ふと目をあけたら
垂れる花嫁が
まっぐろい花嫁衣装で
真っ暗闇のなか
じっと、床に座られていた
それで、如何されたのですかと
きいたなら、
この腹のところが気になるとおっしゃる

ふとてのひらに
銀色のメスがあったから
それをさしあげたら
はっていた腹をわずかにさいて
はらからちいさな小鳥をとりだした

小鳥はつくりもののようだった

おまえ、はらんどったね
そういって
その小鳥をぱくりととった

ゆかなぎが
垂れる花嫁をみたのは二回目で
その風貌から
垂れる花嫁と、なまえをつけた
悪神だといわれる
でも、なにもしない
大切にしている
そういわれる

:

また、はっときがついたら
もとの部屋にもどっていた
とりさんが傍にいて
ゆかなぎをただ黙って見つめていた
2016-08-26 09:19:04