不遇

―― そう いえば 思い出したのですが
猿 が 岩の中の 穴の中
手を入れて 果実をとろうとして
手を握り締めて 穴から手が出ない
その 痛みに いらだち 嘆く

 そう、自身の不満は
 いつも
 そんなようなものです

―― あなたのなかの善良さ
きづきもせず ひかるとき
わたしは あなたの
あなたの欲の
重みをみながらも

救われる


―― 泥沼の ひとと ひととの
かかわりのなか
欲にまみれ
自分にしがみついて その痛みに泣く
なさけなさを かかえ

それでも あなたが
善良である あかしを
みるたびに

 わたしは 救われてきた

 ひと



―― たやすく あらわせる
わかりやすい
やさしさでは なく
ひとは 命を 好いている
2011-12-13 22:58:56