花の実

この間、わたしは
おかしくて
気がついたんです

　それで　なんだか　おかしかった

あの　柘榴の実に
なにが　いるんでしょうか
いったい、だれが　なにを
いえるんでしょう


　現実が　残酷なわけでも
　人が　残酷なわけでも　なくて
　生活が　残酷です　なんていったら

　笑って　笑って　笑いころげて
　そうだねえ　って
　いってくれた
　なみだ　出てるし　鼻水　でてるし

柘榴の実に　なにがいるんでしょうか
水でしょうか　太陽でしょうか　月光でしょうか
柘榴の実に　なにがいるんでしょうか
土でしょうか　友でしょうか　あなたでしょうか

　こうやって咲け
　こうやって　実になれ

そんなこと
柘榴の実には　いらないよ

このてのひらに　柘榴の実を
つつめたら　いい、と　おもう
なんだかね

胸に　柔らかな柔らかな　光が満ちたら
だれが　救われるんでしょうか

ええ　望むことなど
わたしはひとつも
もってない

　ああしたい　想い
　こうしたい　想い
　ひとつもない

あなたの胸に　光が満ちても
あなたのうつつは
かわらない

私のうつつが
かわらないように

わたしの　中に
ことが
ころんと転がっているだけ

ありがとう　愛してる
　ごめんね　愛してる

つたえきれるでしょうか
つたえたいんです


背中をさすりましょうか、と
ききましたら
うん、いらないよ
それより
あなたの柘榴に
水でもおやり、と
おしゃった

あらあら
また
間違えていた