愛は自由をあたえ、力をあたえる

ひとつ しるしや
ひとつ 愛し
ひとつ 求めや
ひとつ あたえ

ひとつ しるし
ひとつ にない
ひとつ あたえや
ひとつ ひとり

その、愛情の恐ろしさ
わたしは、それ以上を知らない

それは、じつは
愛をもった
制御したいという
思いだった

情深い人の
その、愛情の恐ろしさは
味わった人にしか
わからないかもしれない

ひとつ しるしや

きりかぶの
前に腰掛けて
やさしい木こりが
パイプをすっている

そのけむりが
薄くうすく
そらの青に
のぼっていく

愛して愛して 愛した
あの人は
小鳥を 愛したあまり
小鳥の 上にいくも 下にいくも
御したくて 御したくて

小鳥に ひとつ ひとつ
そちらは こわいとか
そちらは駄目だとか
つたえ つたえ

きりかぶのきこりは
私の話にみみをかたむけ
ただ、じっと
微笑んでいる
私は、きこりの前で
れんげをつんで
れんげをあんで
うたをうたう

ひとつ しるしや
ひとつ あいし
ひとつ ゆるしや
ひとつ くるしむ

 愛と正しさとうぬぼれが
 ごっちゃになってしまったとき
 人は きっと
 相手をしばりつけ
 不自由な 制御を
 したがり

 それは たしかに
 このままでは
 か弱い命
 不遇と思う
 不遇を かなしいとおもう
 愛が あるのです

 だけど その愛し方が
 弱い 弱い かなしいあまり
 あまりに あまりに
 かなしい あまり
 小鳥の自由を うばうほどに

ひとつ あいしや
ひとつ くるしみ
ひとつ かなしや
ひとつ あいし

 けれど 愛は
 それでも 愛は
 愛が あるから
 だから こそ

 わたしたちは 学ばねば なりません

 相手を 尊重することと 自由にする

 愛し方を

きこりの父さんが
ふう、っと
パイプをとって
ぽけっとにいれて
金のわっこをだして
れんげにこれをつけなさい、というから
いただいて、蓮華の花冠についでに
金のわっこをつけた

 愛は 尊重がともなって
 はじめて 愛となるのでしょう

 それでも けれども
 人は あの心の深い
 情深い けなげな
 それでも 自分の思いを
 信じきれない けなげな人たちは

 愛を すでに
 もっていることにも
 気がつかず

 ただ 自分が
 もっていないのは
 尊重、という だけだと 思う

 相手を愛してこそ
 不自由にも 自由にも
 無力にも 力にも

 きっと

そういったら、お父さんが
ふと、わらった

 おかえり

うん、ただいま
2011-05-24 16:29:41