まく、

まくろい空に
きれいなきれいな満月が
ちらりと光
こまやかな星ぼしが
ちかり きらり
またたいておりました

風がいくぶん
つめたく
あなたは
ハスのしたの
泥水にめぐり
蓮の茎のなか
すいすい
すいすい

みあげたら
柔らかな光
蓮の花
柔らかい葉の影
泥はあたたかく
みどりと あお
金色と 白
きれいだったと
妙なことを
いいます

―― 純粋な正しさは
純粋な悪意でしょう

西の空の
あかいような星が
ちらん りらん
光る

あなたは 聞いているのか
蓮の花を
いまだたたえ
私はみちぱたの
タンポポをみつけ
嬉しくなる


―― 許されてきたことを
忘れてはならない
善人だったわけじゃない
情けない 悪人だった
許されてきただけだ

君は 卵みたいだ

あなたがとつぜん いう
柔らかい羽を
すきとおった卵で
プルプルさせて
みえみえなんだ

私は 笑う

どれだけ
素直になれるか
ただ それだけ
きっと どれだけ
素直に なれるか

いつか落ちそうな
業穴は
いつも後ろに
ついてまわる
まくろい罠


年をとるたび
捨てきれない
怖いものが増える
プライド

どれだけ 素直に
生きていける
貴方のそばに

見上げたら
空はゆっくり
ゆっくり
夜をふかませる

寒いから 手をつなぐ
2011-11-30 19:08:29