タワー

―― タワー みたいな
ほら 遊ぶ道具があるではないですか
そういう風です

―― ある程度
たかみまでつみあがれたら
こわれ
形のない あいまいな 悩みに
まいぼつし
そのときに また
わからなかったことを覚え
また つみあげるのです

―― 
 間違えて
 こわすことを おそれては
 つみかさねることなど できない



―― 知恵のみ というのは
なんだったのでしょう
わたしには プライドに思える

―― 
 ひとの プライド



―― あの日 貴方と別れた後
歩いていたら
肩をつかまれ
「きょりをとれるかい」と
きかれ
ふりかえれば
真っ赤な鬼が居て
それが、なにか
金色の毛をふさふささせながら
泣くように いうのです

―― 「じぶんを ひきがして みられるかい」と
ですから いち、にほ
じぶんをひきはがして 見れば
ああ そう
みえかた なのだ と 思えたのです

―― 
 みえ かた



―― じぶんのきもちをこえて
 ものをみるには
 時間か 距離 が いります

 なにかを する なら 失敗も
 するに はいる

―― やさしくなりたい と
思ってきましたが
いまは それは
違うように思えます

―― 間違いを背負う というのは
怒られよう と
いうことかもしれないです
だも 違うと思ったら
はい とは いえないのです




―― 鬼は、私に
金色の自分のお面を渡して
泣きながら
すざまじいはやさで
走っていきました

その傷だらけの背中を見ながら
なにが 間違いか なにが ただしいのか
わかりもせず
ただ 私の考えどおりに
すべてをいれることが
正しいとは思えなかった
2011-12-13 18:00:28