真っ赤なお手玉をかぞえあそぶ
あの方をみていた
白魚のような手のひらは
ただ、おてだまを
あげては、つかみ、
あげては、つかむ

あなたは、わらう

なんにもいわない
私も、わらう
なんにもいわない

真っ赤なお手玉に
金色のすじがあり
わたしは、それが
なにか、言い知れない

畳はあかちゃけて
太陽にやかれている
あなたは、わらう

気づくように
鳥が鳴き
それが、馬のいななきに
おもえ
振り返っても
なにもいない

あなたが、ふと
はなす

のどが、かわいたね

水でもお持ちしましょうか

そういえば、
うん、おまえ
はやく、なきなさい、そういう

そういわれても
急には泣くことなど
出来ない、のに
あなたは、はやく、はやくと、
せかす

えい、しかたないと
こころ、きめたら
泪が急にでて
だあだあとながれ
あなたの足元まで、ながれ
だあだあ、だあだあ


あなたは泪をすくい
金魚がいたよ、そういう

そんな、ばかなこと
みれば、たしかに
金魚のような
金色の長細い魚が
しゃんしゃんと
泳いでいる


なきなさい
間違えずに

あなたは
金魚をはなしながら
わらう
2012-01-03 13:51:33