柔らかな雪のうえにさうさうと
静かに白い雪がふりおり
とけこむように
つのっていく

静かな蛇がそのうえを
しゃうしゃうと
すべりゆきます

~~現実はことなりましょう……

どこかで話し声がするのです
たぶん、テレビか
ラジオかもしれません
清んでいるのに
音がわずかに重なり
くもっている

~~重なりあわない世界をまえに

歌のようです
また金色の蛇が
あちらからきまして
音もたてず
あともつけず
すべりゆきます

歩いてゆきます
目的はあるのですが
雪のみち、足は重く
体はしびれるようににぶい

息をはいて、少し立ち止まり
うえをみましたら
めまいがするほど
暗い広い空に
白い白い雪

もうすこしなのです
もう一度前を見たら
手前の方がわずかにあかるい

そこには広間があり
広間のまんなかに
ストーンヘンジがあるのです
テレビでやっていたストーンヘンジを
みんなでまねて
つくった、この村のストーンヘンジ……

……

なんとか、ゆっくり
ゆっくり
ゆっくり、あしをあげ
あしをおき
あげて、おいて
すすんで、たどりつけば
不思議なことなのです

ストーンヘンジをおいた広間は
春のように明るい
あたたかで
雪もない
たきぎでもしているかのように
あかるい……

ここまで歩いてきた村のひと
数人と
どこで生きてきたのか
何種類ものけものたちが、まるくなり
骨を休めています

~~お、ほいっちゃ、ほしいもくうか

向こうの方から
おおきな声がかかります
ほいっちゃは
わたしのあだ名です
みれば、家が隣のおやじさん

わたしは思わずほころぶように
笑いました
そうして顔がこわばっていたのを知りました

たべます、たべます、ありがとう。と
返事をしながら
向かいます
服についていた雪がこぼれて
溶けきえていく

……ステーヘンだか
なんだかしらんが
つくってよかったなぁ

おやじさんは
タバコをふかく吸いながら
吐き出しながら
いいました

わたしはストーンヘンジって
こんなんだったかしら、と
おもいながら
ほしいもをほうばりながら
ええ、ほんとうに、と
こたえました