骸骨の花音頭

闇の花に足をつけた
底は水で 静かにしずんだ
空はあおぐらく
遠くが明るい
月が満月で
ぼんやりとひかっていた

ながしたなみだ
てんてん、てくる
ながしたくるしみ
てんてん、てくる

どこかで誰かが歌っている

足引き抜くと
雫がたれた
月明かりに
しろくひかる
たぽん、たぽん

花をつんでかえろうと
背を屈めた
背の、ほねのところから
さくばく。と、音がして
さけた

さけた僕は
骸骨になった
肉は皮膚と共に
べろんと、おちた
血もながれなかった

ーーこんなに、肉も血も、重かったんね

……花のなかに
うずもれるように
ゆっくり形をくずしながら
肉も血も皮膚も毛も
僕からはなれていった

僕は白銀に光っていた

ーー満月のおかげじゃろね

花をつもうとして
もう一度かがんだけど
骨の掌じゃ
うまくいかなかった
すべって花びらが散り
骨の隙間にはさまった

……

すこし僕は
黒い花のなかで踊った
そう、ぽう、そう、
花びらが散っていく
てきとうに、
覚えてもいない躍りなのに
なにか、楽しかったのか
ちいさな獣たちが
僕をみて笑ったりしていた

どこか盆踊りのようになってしまって
僕は、ちょいなちょいなと
小声でこぶしをつけた

月明かりはいよいよ深まり
花の香りは、白いあのひとの手を思わせた