なぁ、でも
こんなことは
別にみんなちゃんと出来るんだよ……

マッギさんは
長いお話のあとに
そういいます

でも、教えようとすることを
なくしたら
話せなくなる



マッギさんというのは
鼻のながい象の方なんですが
わけあっていまは
人にみえる皮をかぶって
ひとのふりをしています

マッギさんが
好まれるのは
クリームソーダ
好いてる大衆食堂
雨の日の本屋
それとカツギさん

カツギさんは
明日には
お祭りですから
みこしの準備でいそがしくて
マッギさんなんか
てんであいてにしないんですね

マッギさんが
そんなころ悩んでいて
私を呼び出すんです
すいている大衆食堂は
けっして不味いわけでも
高いわけでもなくて
量がとんでもなく多い

私は出てきた盛りそばをみて
頼んだことを
すこし後悔して
つぎつぎもられるわんこそばが
全部出てきたらこんなかしらん、などと
思い出して
笑いそうになりました

年の高い方ばかりの町に
その量がすこしミスマッチなんですね

……

それでマッギさんは
マッチのすりかたや
てのひらから煙をだすこつなんかを
話すんですが
最後にいわれるんですね

おそるおそる
絞り出すような声で
なぁ、このまつりは
ふんどしというものは
つけるのかな

たとえば、カツギなんかも

……

だ、じっと
だまってしまう
じっとだまって
じょじょに赤くなりながら
わたしをみている

あっけにとられていた私は
ようやく、何を言われたか気がついて
確かそうだった、と
伝えようとしたら
マッギさんは
机に頭をぶつけて
かかえられていうんですね

私は実は、遠い星の
象のものだというのは
君はしってるね
なぁ、カツギの
おしりなんかみて
興奮なんか
してはならないのだよ!私は

そうして
あーー、と
ぐだぐだされる
ぐだぐだされる

なにせ、同じ星の種族ですら、ないのに

顔をふせたままの
マッギさんから
涙なのか
水溜まりが
机の上に
ひろがるんですね

わたしは困ってしまって
のびそうになってる
大量なおそばを
すこし箸にとりました

好きになった理由なんか
わたしにはさっぱりだよ
でも、とうてい
好きなんだ

……

それから静まり返ってしまう

わたしは困ってしまって
やはり、上をみたり
下をみたりしていました

マッギさん
もしもカツギさんと
はなすなら
もうすこし、お説教じゃないはなしも
いれたらいいんじゃないかしらん

そんな
場違いなことを思いながら