そのひと

……

面白いとはなにか、を
ふたりのたぬきが
真剣に話している

どこからかとってきたのか
香りのよい紅茶と
ケーキがそばにおいてある

ひとりが
つまりは、笑わせようとしないことだ
笑わせようなんてすると
とたんにつまらなくなる、
という

もうひとりが
可愛い、というのと
なにがしか、関連がある気がする

そういう

洞窟のなかは明るい
桃色に光る苔が
そうそうにゆるんでる

白いちいさな
花が
あしもとのそこかしこに咲いている

どこからか
夏の香りのする風が
暑さをこめて
吹き抜けていく

風もさいきんは
おおきくてのろいな

ひとりがいう


まことにまことに

ひとりはケーキをほうばりながらいう

たぶんですがな
ユーモラス、ということでしょう

きゅうに
ちいさな黄色いけものが
机のそばにでてきてはなしだした

ユーモラス?
ユーモア、ということです
えらそうに
胸を張っていって
えっへん、と咳払いをする

それではケーキをしつれい……

よい意見をいえたのだから、とでも
いうように
残ったケーキを
その子はほうばってしまう

まだ食べてなかった狸が
あわててその子からケーキをとろうとして
その子は失敬な、と怒って
その手をひっぱたく

狸はアアンと、顔をてのひらでおおう
みてらんない、とでも
いうように

……

生暖かな風が
ゆっくり、どうくつにはいって
彼らをなぜて、また去っていく
たしかに、おおきくて、おもそうに