冬の氷のような方が
焚いたお線香の横に
ちょこんとすわって
アリアをうたわれていた

なんの歌かたずねたら
「モーツァルトの魔笛」といわれる
「夜の女王」の甲高い歌を
聴かせてくれた

……

当時はこんなかんじが流行りだった、
と、聖霊さんは
白毛のカツラをわたしにかぶせてくる

私は帽子が似合わないのだけれど
その白毛のカツラも
えらく似合わなくて

かぶせてきた聖霊さんは
まじまじと私をみたあと
腹をかかえてわらってしまった

こんなにあわないひとはじめて!
とゆいながら
転がり笑っていた